「まみず21.3兆円」は本当に“積極財政”なのか？

政府が打ち出した「強い経済を実現する総合経済対策・まみず21.3兆円」の内訳は、

合計21.3兆円規模の“追加の支出・減税等の動き”という意味になります。

数字だけ見れば、景気対策としては「そこそこ大きい」規模です。そのためコメント欄では、

「まみず21兆ならストライク！」

と、“合格点”というニュアンスで評価する声も多く見られます。ここでの「ストライク」は、野球でいう

ストライクゾーンにちゃんと来た球

という意味で、「完全に的外れではない」「最低ラインはクリアした」程度の“褒め言葉”と受け取れます。

問題はここです。

政府の資料の最後には、次のように書かれています。

令和7年度（2025年度）の当初予算＋補正後の国債発行額は
40.3兆円で、昨年度の補正後（42.1兆円）を下回る見込み

つまり、

→ 今年の方が借金の増やし方は小さい、ということです。

動画の中で言われていた

「去年より国債発行が少ない＝むしろ緊縮寄りじゃないの？」

という指摘は、数字の上ではその通りです。

政府のメッセージを整理すると、

という、両方にいい顔をする二枚舌的なメッセージになっています。

動画では、2022年度の補正予算とも比較されていました。

ところが、そのうち

になっていたことが、のちに会計検査院の調査などで分かっています。

つまり、

「32兆ドーン！」と派手に見せておきながら、実際にその年度内に動いたのは約20兆円程度。

今回の

は、コロナ期の「32兆円補正」より小さいですし、「まみず21.3兆円」と言っても、過去と比べて特別ぶっちぎりで大きいわけではない、というのが動画側の主張です。

見方を整理すると、こうなります。

補正予算の“規模”だけ見れば
コロナ後では最大級の18.3兆円で、「一見すると積極財政っぽく」見える。
1年間トータルの国債発行額で見ると
昨年 42.1兆円 → 今年 40.3兆円で、むしろ少し締め気味（緊縮寄り）。
物価高と実質賃金低下の中身を考えると
たとえば「物価高で家計負担が年間20万円増えているのに、補助は5万円だけ」みたいなイメージで、生活者感覚では「全然足りない」と感じてもおかしくない。

この結果、動画では

見せ方は“積極財政”なのに、中身は「去年より国債発行を抑えた緊縮寄り」。こんなトリックがまかり通るなら、この国が傾いても不思議じゃない。

という、かなり辛口の結論になっていました。